最近観た映画のログが13本。
たまりにたまっているでござる。
とりあえず気に入った順番に感想を。
「グレン・グールド 27歳の記憶」
この映像自体は新しいものではなくDVDにもなっている。
アンコール上映ということで劇場のスクリーンで観た。
本当に、この映像に関しては劇場に足を運んで正解だった。
ピアニスト、グレン・グールドが27歳だった頃の素顔を
追ったドキュメンタリー。手袋とマフラー、低いピアノ椅子に
足を組む不思議な演奏姿勢。鼻歌を歌いながら弾くバッハ。
どれもこれも、文章で読んだことのある光景が映像で実証されていて
「グールドってホントにこうだったんだ!」という驚きの連続だった。
たぶん好き嫌いがはっきりわかれるだろうグールドの音色。
音楽と向き合うためにあえて孤独な暮らしを選び、活動は録音を
主としていて、演奏会にもメディアにも出たがらなかった。
だから素顔はほとんど知られていないグレン・グールド。
たしかに、言動はちょっと変なんだけど、どこかチャーミングで
心を惹き付けてやまない。それに思っていたより饒舌な人だった。
「4年前にカナダから出てきたときはホント田舎モノだったよね」
と周囲にからかわれ、一緒に笑っている彼の笑顔は信じられないほど
無邪気だ。
一番好きだったシーンは、NYスタインウェイ本社地下の
ピアノ庫で楽器を選ぶグールドの姿。膨大な数のピアノが
並んだ部屋で、これはダメだ、これはベートーベン向きだ、
やっぱりこれがいい、と録音用の楽器を慎重に試奏する。
そして、録音スタジオでの光景。完全主義なグールドは
何度も何度もテイクを重ね、納得のいくまで自分の演奏を聴き直す。
それに長時間つきあうコロンビアレコードのスタッフ達。
グールドの生意気さに「裸足のバッハ少年のおでましだ」
と半分苦笑い。
でも、いざ弾きだすとどんどん引き込まれる、その生意気さも、
天才だからこそ許される、という感じ。性格がどうこうじゃなくて、
音楽に対して、あまりにも真剣すぎるから、他のことなんか
きっとどうでもよくなってしまうんだろうな。
周囲も彼の情熱に引っ張られていくように見えた。
「ゴールドベルクは13歳から弾いている。バッハで一番難しい曲だよ。
でもあんまり好きじゃないな・・・」
自他ともに認める名演奏の録音後、スタジオでしゃがみこんで、
そう呟くグールドがあまりにも愛しすぎた。
鍵盤に指をおろしたその瞬間から彼は別の世界に旅して、
最後の1音が消える頃に現実に戻ってくるみたい。
別荘にある彼の愛用のピアノはチェンバロのような音色だった。
これこそ、バッハを弾くためにあるピアノのようだと、思った。
同じく27歳でピアノの音が好きな准くんに観てもらいたいな。
「ラフマニノフ ある愛の調べ」ラフマニノフ好きな方にはぜひおすすめしたい、素敵な映画。
「ラフマニノフ・プレイズ・ラフマニノフ」という名盤が
ありますが、それを映画で再現してみました、という感じの
映像でした。リアルタイムに同じ時代に生まれて、
ラフマニノフの生演奏を聴けた人が羨ましい。
しかし、この映画の中ではピアノメーカーの
スタインウェイはかなりの悪役に描かれていて面白い。
過酷な演奏ツアーのスケジュールに苦しむラフマニノフを
なんとかなだめて御機嫌をとり自社専用の列車で各地を
連れ回す。メーカーにとって人気ピアニストは大事な広告塔。
ただでさえ繊細で気難しい音楽家に、とにかく演奏会で
稼いで稼いで稼ぎまくれと酷使するのは不憫すぎた。
音楽で食べていくためには仕方のないことなのかもしれないけど。
ところで、列車に練習用のグランドピアノが搭載されていたのは
現実の話なんだろうか。だとしたら、すごいですよね。
おそるべしスタインウェイ。
演奏よりも作曲をしたかった彼にとって、10年間1音も書けていない
という苦しみはいかほどのものだったか、と後半にいくほど観ていて
苦しくなりました。映像は予算の都合か多少チープなところもありましたが
とても心あたたまるラストでストーリー的には良かったです。
「アイム・ノット・ゼア」
これは、ボブ・ディラン好きな方の感想をぜひ聞いてみたい(笑)
いや、かっこいい映画なんですよ、すごく。
ケイト・ブランシェットなんてモノマネの域を越えた
渾身の演技だし。何人もの役者さんがボブ役を演じてましたが、
ケイトが一番だったな。ほんとかっこいい!
あと、この映画はポスターのデザインがお洒落だった。
「ラスベガスをぶっつぶせ」この邦題はひどすぎる(笑)しかも雑誌とかで酷評されてるし!
しかし、自分的には今年観た映画の中で5本指に入る傑作(笑)
(MITの数学の授業シーンでもう完全にノックアウトされた)
カジノでの大もうけを企む数学仲間だった教授との仲が、
ある事件をきっかけに敵対し、必死でためた進学費用や卒業単位まで
失いかける主人公。さて、どう反撃にでるのか、という話の流れが
面白くて夢中で観てしまった。しかもこれは実話らしい。
ラスベガスの雰囲気を知ってる人なら、より一層
楽しめるんじゃないかな。数学が出てくるけど数字に弱い自分でも
理解できたので、だいじょうぶ!